灰色の青空

初めて近鉄南大阪線に乗る。
松原、羽曳野などを通り抜ける線。
私はこの河内と呼ばれる地域の、地面の勾配の加減と色彩が本当に好き。
水上勉が描いた世界を思わせる、寂寥と覚悟を感じるのだ。
山形の鶴岡、庄内映画村の辺りにも少し似ている。

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葛城市の相撲館けはや座ヘ。
ころころした坊主頭の子どもが土俵の周りではしゃいでいて、みんなの娯楽として、身近な非日常として、相撲が息づいているのだと感じる。
子どもがそこにいると、まさに根っこから文化が育っているのだと実感されて良い。

河内家菊水丸大相撲トーク&河内音頭
貴乃花の政界進出は100%ありません!」とキャッチーな話題も折り込みつつ、相撲甚句と共通する音頭を一節、二節。
相撲にも河内音頭にも知識の乏しい私にとっては、ああそんなところとも繋がっていましたか、とまた宿題をもらった気分。取り組むのが楽しい宿題はいいなあ。
様々な音楽が流れ込み、河内で合流して、それぞれの音頭取りがそこに柱を立てる。その周りで人々が踊る。なんてかっこいい風景だろう。音頭取りが立ったところが柱、みたいなモバイル性も含めて恰好よい。

それから、今回は屋内だったので、これまでに何度か聞いた河内音頭の音のバランスと違って聞こえた。具体的には、一つひとつの楽器の音が立って聞こえた。
我が家で「CSI:マイアミ問題」と呼ばれるものがあって、それを思い出した。
アメリカのドラマである『CSI:マイアミ』のテーマ曲。最初にキーボード/シンセサイザーの旋律がなって、そこにドラムが入る。それからギターが“ザカザーン”と割って入ってくるのだが、何度聞いてもこの“ザカザーン”のタイミングが取れないのだ。
河内音頭も、太鼓がドーンとなってリズムを打ち始めたところに、ギターが“サーン”と一音入って始まるのだけれど、その“サーン”を入れるタイミングの難しさ、その勇気。そこに深く感じるものがありました。

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ちゃんことこんにゃくをいただき、初っ切りを見て当麻寺ヘ。
当麻寺曼荼羅。乏しい曼荼羅体験ではありますが、初めて曼荼羅にインドを見た。天竺とかガンダーラとかではなく、観光ガイドブックの写真で見るタージマハルみたいな、現代の我々にとってリアルなインド。ボリウッド的表現。そこから映画『華麗なるギャツビー』のパーティーシーンとも重なって、人間が描く“極楽”の、縦断的横断的普遍性を感じる。

うーん、やはり文化はどうやって残り、合流したのか、関心はそこへ立ち返る。
この地で化合されたもの。それが私の心の中で、さらに血脈として連なり風景が広がるのを感じる。河内の風景ヘ。

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帰りに上本町近鉄に寄って、地下のはり重のイートインヘ。ビーフワンを初めて食べる。
思ったよりも牛肉にしっかりと味がついていて、牛丼と京都の他人丼の中間といった味わい。文化のグラデーション。

ところで、けはや座では受付で軍配型色紙を急に渡されて、「何を書きましょう」。
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すっかり慌ててしまって、名を騙ってすみません。
首のところが折れやすいと聞いたので、当麻寺駅→尺土→橿原神宮前→大和八木→上本町からその先と、近鉄電車を駆使して慎重に持ち帰りました。